第87章

灯りのない部屋。月明かりだけを頼りに見ると、黒衣の男の瞳は底知れないほど深く、ゆるく波打つ黒髪が眉と目元にかかっていた。月光を受けた視線が、刃のような鋭さを一筋だけ走らせる。

そのとき、着信音。

男は通話を取った。がらんとした室内に、受話口の向こうの声がかすかに滲む。

「宮崎の爺さんは今日の午後3時50分に死亡。発見したのは近所の吉川貴弘で……」

「宮崎家に駆けつけたのは神崎家の神崎雅志、神崎旭の父子、それから神崎雅志の姪の神崎紬、秘書の松井響……」

「……五象インターナショナル小学校のサッカー場の下から出た遺骨ですが、通報記録によると、宮崎の爺さんが息を引き取る直前、一瞬だけ意識...

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